一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
10章:現在まで②
でも、そんなプレゼントは、サンタには無理だ。
どんな人にも、神様にも、無理な話だ……。
「すぐ荷物をまとめて戻るぞ、ローマに」
鷹也さんが優しく言って、私はそれを拒否するように首を振った。
「やっ……」
「どうして?」
「私はここにいます。私やっぱり日本がいいの。だから離婚を……」
「日本に住みたいだけなら一緒に戻れるように策を考える。どうしても離婚したいというなら、きちんと俺が納得できる理由を言え。そうでないと俺は沙穂を諦めない」
その言葉に、胸がぎゅっと掴まれる。
どうして、私にそんなこと言うの?
この人はいつも、なにもかも余裕の表情で、何でもそつなくこなす。
そして、私が何をしても、本気で怒らない。
―――本気で私に向き合う事なんて、きっと一生ない。
あの写真の女性……貴子さんの笑顔が脳裏に浮かぶ。
きれいな人だしね……別れてからも後悔するよね。
そう思うと苦しくなる。
子どもができないのもそのせいだった……?