一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「目、覚めた?」
「ごめんなさい……勝手にいなくなって」
その言葉をなんとか発すると、勝手に涙がこぼれた。
ごめんなさい。
怖かった。答えを聞くのが怖かった。今も怖い。
―――でも、それでも、鷹也さんのそばにいたいって思ってる自分が滑稽で恥ずかしい。
鷹也さんは涙を指ですくうと、私の目を捉える。
「いいよ、って言いたいけど、もう二度としないでくれ」
鷹也さんは強く抱きしめたあと、私の目をじっと見据えて問う。
「ところで、誰にかくまってもらっていた? 俺自身と、周りの人間を使って探しても1週間見つからなかった。沙穂一人でどうにかできる問題じゃないだろ」
それは確かにそうだろう。
しかし、ここでフェミル製薬の名前を出すのは、いけないことだと私なりに感じていた。それが鷹也さんの仕事に関係するかもしれないことなら余計に。
私は答えずに、ふるふると首を横に振る。
「……いえ、誰も」
「そうか。まぁゆっくり吐かせるよ。時間はたっぷりある。ただし、もしそれが男だったら許さないからな」
私はゴクリを息を飲む。
それを見て鷹也さんは私の額にキスを落とした。