一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
 城内さんが帰った後、私はじっと鷹也さんを見ていた。

「本当に……あの……」

 どういうことなんだろう。
 でも、城内さんの言葉、嘘には聞こえなかった。

 鷹也さんは微笑んで言う。

「今から二人で出かけようか」
「いいの?」
「もちろん」

 鷹也さんが微笑んで、車に乗せられて、近いけど行ったことのなかったオスティア海岸へ。
 久しぶりに海に来た私は、嬉しさのあまり海岸を走り出した。

「わぁっ! すごい! 海! きれい!」
「沙穂、走らないで。追いつけなくなる」
「あ、はい。すみません」

(恥ずかしい。……はしゃぎすぎた)

 そう思って鷹也さんを見ると、鷹也さんは目を細めて私を見る。

「ううん。だから目が離せないと思ったんだ」

 鷹也さんは自分のコートを私にかけると、優しく微笑んだ。

 私は海をもう一度見る。

 日本で見た海を思い出す。この海も日本につながっているんだよね……。
 日本で鷹也さんと海を見たことはないけど、このローマの海を鷹也さんとみられて幸せだと感じていた。
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