一途な御曹司は溺愛本能のままに、お見合い妻を甘く攻めて逃がさない
「へ? なんで……っ⁉」
沙穂が腰を抜かしそうになって俺がそれを支える。
彼女を支えた手がじんわり熱を持ったことに気づいた。
「キミの、沙穂の、見合い相手が俺」
座るように促すと、まったく顔をあげずに沙穂が座る。
その様子に少し心配になった。
二人きりになった時、
「ごめん、驚いたよね」
「ほんとに……驚きました」
よく見たら沙穂の耳が赤い。思わずクスリと笑った。
(頼むよ……沙穂。俺を見て。俺を受け入れて)
思わず顔を上げた沙穂と目が合った。
俺は成功を念じながら沙穂にゆっくり伝える。
「俺は沙穂と結婚したいと思ってるけど、沙穂は?」
沙穂が息をのんだ。それから、まっすぐにこちらを見た。そのたった一瞬の間が、何時間にも、何日にも思えた。
「私でいいんですか」
「あぁ。沙穂がいいから申し込んだんだけど嫌だった?」
「ぜ、全然嫌じゃなくて……いや、むしろ嬉しいって言うか」
「そうか。それは良かった。日本に来たかいがあったな」
(本当に……君に会えてよかった)