second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Tachibana side 1:12月24日金曜日】
【Tachibana side 1:12月24日金曜日】
12月24日の今日
今年はどうやら金曜日らしい
『もう日が暮れる時間か・・・・そういえば、陽菜ちゃんは初めてのクリスマスイヴだって・・・お母さんが喜んでいたっけ。』
先週の木曜日
出産時、ともに生死の境を彷徨った母子が久しぶりの検診で外来診察に来てくれた
俺の担当は子供のほうで、名前は日詠陽菜《ひえいひな》ちゃんという女の子
姉妹病院である名古屋南桜総合病院の産科医師である日詠医師の娘さん
美男美女の両親の間に生まれたこともあってか
陽菜ちゃんもまだ乳児ながら美人
美人だなんてのんびりしたことを言っているけれど
俺が“絶対に助けて”と奥野さんの手から初めて手渡された陽菜ちゃんという赤ちゃんは
命の灯火が消えかけていた新生児だった
そんな彼女が退院後は順調に成長しているようで、先日の外来診察でも、きゃっきゃっとはしゃぐ陽菜ちゃんと彼女を楽しそうにあやすお母さんの微笑ましい姿を垣間見ることができたぐらいだ
そういう再会は本当に嬉しいと思える大切な機会
ずっと追われているような忙しさも
そういう機会があってこそ頑張ろうと思える
キンコーン♪キンコーン♪
NICU(新生児集中治療室)内に頻繁に響き渡る音。
それは心電図モニターの異常警告アラーム音。
ここにいる患者は生まれて約1ヶ月にも満たない新生児が殆ど。
ミルクを飲ませるだけでも、それによる体への負担が大きかったりもする新生児もいる。
そんなわけで、その音が聴こえてきたら、その赤ちゃんがどんな状況でいるのかを瞬時に捉え、看護師からの情報を踏まえた上で対応を急ぐのかそうでもないのかを判断するのも俺の大切な仕事だ。
「橘先生。診察中にすみません。中田海斗クン、不整(脈)が出ているんですが・・・」
『母乳、始めたはかりだっけ?』
「ええ、今、ちょうどお母さんが面会に見えて、母乳を飲ませてもらっています。」
『そうか・・・・』
「搾乳して哺乳瓶で飲ませさせてもらうようにします?」
『・・・・・この子の処置が終わったら行くようにするから、判断はそれからで。とりあえず今は母乳ストップしておいてもらうようにして。』
「わかりました。」