second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『転院・・・してもらう?小児循環器、小児心臓外科のちゃんとしていて、この症例に適切に対応できるちゃんとした産婦人科医師がいるという3つが揃っている病院に・・・』
「その必要はないでしょう?」
『なんで?』
「だっているでしょ?適切に対応できる産婦人科医師。」
そう言いながらあたしを指さす橘クン。
しかも真剣な顔で。
どうやら冗談とかではなさそう。
『えっ?あたし?』
「ええ、難しい羊水塞栓症だった日詠伶菜さんの分娩対応されていたじゃないですか・・」
『まあ、そうだけど、でも、小児循環器ドクターも非常勤だし、そもそも小児心臓外科医がうちの病院にはいないじゃない・・・・』
「・・・・・・・」
ごもっともなことを口にしたあたし。
さすがの橘クンも難しそうな顔をし始めたようだ。
でも、“これ、今、言ってもいいのかな・・・”と彼が呟いた後、あたしのほうを向いた彼の表情からはさっきの難しそうな顔は消えている。
「孫の顔をもっと頻繁に見たいから、名古屋に住むそうです。」
『は?何、突然、孫とかって・・・』
「東京医科薬科大学の小児心臓血管外科教授の日詠医師が、うちの病院に。」
『は?何をしに?』
「だから、大学の定年退職を機に、うちの病院の小児心臓血管外科部長に就任されるそうです。小児循環器医師である奥様も一緒にうちの病院に・・だそうです。」
『・・・・・ちょっと、何、それ、あたし、知らないし・・・』
「まだシークレットで進めている案件なんで、病院長から箝口令を敷かれているんです。ここで話してしまったけど。」
さっき彼が難しい顔をしたのは、小児心臓血管外科医師、小児循環器医師がうちの病院にいないことを悩んだのかと思った
でも、そうじゃなくて、その当てがあることをわかった上で箝口令が敷かれている内容を打ち明けることを思い悩んだんだ
たしかにそうなるのもわかる
このシークレット案件は病院長が今年の仕事始めの日に声高らかに訴えていた病院改革の一環であることだろうから
『なんでうちみたいな病院に、小児心臓外科の世界の頂点にいる日詠医師が・・・?息子の日詠クンのいる南桜病院へ行くならわかるけど・・・・』
「孫の陽菜ちゃんと伶菜さんの命を救ってくれた医師がいる病院に恩返しをしようと思ったらしいです。ま~、きっかけはうちの病院長が強引に勧誘したらしいですけど・・・南桜病院にいるお宅の息子さんにうちの病院で従事するはずだった臨床心理士の伶菜さんを持っていかれたと脅したそうですが・・・」
『・・・院長、たまにはいい仕事するじゃない。』