second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結

そして1週間後、正式に日詠クンのお父さんであり、小児心臓血管外科医でもある日詠哲明医師と日詠クンのお母さんである小児循環器医師の日詠早紀医師が当院へ入職することが発表された。

予定では4月からだけど、今田さんの件を知った彼らが、彼女が臨月に入る3月から従事できるように大学とうちの病院に掛け合ってくれたらしい。


『どんどん、病院改革、進むな~。特に小児科改革・・・これを機にもう少し産婦人科と小児科の垣根が低くなるといいんだけどね・・・・』


着々と院内の小児科改革が進む中、あたしは今田さんに今回の検査結果と今後の方針を伝えるという自分にとっての大仕事に挑まなければならない。


次の今田さんの診察は1週間後。
この日までに彼女へ説明をする内容を詰めなくてはならない。
難しい病気が胎児にあるということを伝えることで彼女も少なからず動揺はするだろう。
できるだけそれを最小限にして分娩に向かえるようにしたい。

『こういう時、心理ケア専門家の力が必要なんだよね・・・・』


改めて臨床心理士の必要性を感じずにはいられない。

そろそろ寺川心療内科部長と話をして、どうにかして臨床心理士の派遣が継続できるようにしなくてはならない。


『寺川部長に過去のような関係をまた望まれるのなら、そうするしかない・・・か・・・それで今田さんや臨床心理士のケアを必要とされる妊婦さんや産婦さんが救われるのならば・・・・』

あたしはずっと先延ばしにしてきた寺川部長への返事をするために、まだ自分のスマホに残ったままだった彼の連絡先にメッセージを送った。
“お話がしたいです。”というメッセージを。

その後、彼から“カフェテリアでは人が多いから、明日の昼休みに病院屋上に待っている”とリプライが来た。

明日はあたしも日勤予定であったため、“承知しました”と返事をした。

『あたしの患者さん達はあたしが守るんだから・・・』

あたしはこの時、また自ら間違いを犯そうとする道を選ぼうとしていた。



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