second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結



日詠さんに嫉妬し続けてきた俺が
彼に嫉妬されているのか?

俺が言いたかったのは
伶菜さんを授けて欲しいではなく
それは絶対に無理だとわかっているから
せめて臨床心理士を獲得する術や知恵を教えて欲しいということだったんだけど・・・・


奥野さん、もうホント
この人のこと、すっぱりと諦めて下さい

いや、諦めてじゃなくて
俺がこの人の上を行かないといけないよな
簡単じゃないってわかっているけれど


ひとりの医師としても

そして

『でも、授けて下さい。奥野さんの夢を叶えるために、あなたが持っている知恵を・・・』

ひとりの、奥野さんのことを大切に想う男としても

いつか俺はこの人の上を行きたい




「知恵ですか・・・・良かった・・・伶菜じゃなくて・・・」

あからさまにほっとした表情の彼。

まさか俺が彼の嫉妬の対象になるなんて誰が想像しただろう?

何でも力ずくで突破する森村さえ、手にできていないのが
目の前の彼が死守しようとする伶菜さん・・・なんだ

確かに伶菜さんは母親として
そして
ひとりの女性として魅力的だ

朗らかで一緒にいるだけでこっちが癒されるような雰囲気
そして
陽菜ちゃんを本当に大切に想っている様子を
医師としてすぐ近くで垣間見ているから


でも、俺の心にずっと居座っているのは彼女ではなく

『ええ・・・知恵です。奥野さんの夢が叶うような。』

俺の憧れで、尊敬していて、そして、年上だけど俺の中では守ってあげたい存在である
奥野さん、ただひとりなんだ


「・・・・私の知恵ではないですが、臨床心理士である伶菜の人脈に頼ってみましょうか?」

さっきまでの困った彼の顔が
いつの間にか何かを得ようとしているように目が輝く顔になっている。


『それは心強いですが、でもご迷惑がかかるのでは・・・?』

「いえ、それは大丈夫かと。何かあったらいつでも言ってこいと言われているので・・・とりあえず伶菜に聞いてみましょうか?」

『ではお言葉に甘えて・・・・お願いします。』


彼は俺に“わかりました”と返事をした後、すぐさま白衣のポケットからスマホを取り出し電話をかけ始める。

“もしもし、俺”と言ったすぐ後、口元が緩んだ彼。
おそらく、伶菜さんの声を聞いたせいだ。


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