second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
その後、病棟からコールがあった日詠さんと入れ替わるように、彼の奥様であり臨床心理士でもある伶菜さんが斎藤名誉教授を引き連れてここへやって来た。
お互いに丁寧に挨拶を交わし、早速、臨床心理士についての話をしようとしている中、斎藤教授に抱っこされている陽菜ちゃんが俺の顔を見て、両手を伸ばして俺に抱っこをせがんだ。
「陽菜ちゃんが日詠クンや私以外の男性に抱っこをせがむのは珍しいね。」
斎藤教授は穏やかな声でそう言いながら、目を細めて俺に陽菜ちゃんを託してくる。
『では、陽菜ちゃんをお受け致します。』
「陽菜ちゃんはイケメン好きなんだな。ね、伶菜クン。」
「ええ・・・間違いなく・・・ふふ。でも、人柄もちゃんと見ていますよ、陽菜は。」
「陽菜ちゃんが認める男なら、間違いないな・・・じゃあ、橘先生、お話を伺いましょう。」
臨床心理士の話、しかも話の流れによってはその派遣をお願いできるかもしれないという緊張感の中、陽菜ちゃんのおかげで和やかな空気に包まれる。
そのおかげで、俺が現在のうちの病院の状況と今後目指す方向性を丁寧かつ具体的に説明することができた。
「なるほど・・・臨床心理士を周産期センター所属にするということですね・・・
そうなると、発達分野や家族支援に興味のある臨床心理士が適切ということになりますね・・・」
『周産期専属なると、専門性が高くなる分、臨床心理士としての守備範囲が狭くなるので、なかなかうちへ来ようという心理士さんはみつからないですよね・・・』
「まあ・・・確かに・・・そういえば・・・」
俺と同様に難しい顔をしていた斎藤教授が何かを思い出したように天井を見上げた。