second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
「伶菜クン・・・達也クンは今、確かスクールカウンセラーしているんだっけ?」
「ええ、小学校や中学校で、非常勤でやっているって言っていました。」
「確か彼、病気や疾患のある子供を持つ親の支援に興味があるって言ってたよな?」
「はい。もっと小さい頃から家族を支援できれば、子供も変わってくるかもしれないから・・って拳を握って熱弁をふるってました。この前のお正月に。」
「適任者じゃないか・・・」
伶菜さんと見合って、ひらめいた!みたいな顔をした斎藤教授。
すぐさま彼は鞄からスマホを取り出して、電話をかけ始めた。
電話の相手は志賀達也さんという斎藤教授の教え子で伶菜さんと同期の臨床心理士らしい。
丁度、休日で電話対応をしてくれた志賀さんと後日、うちの病院で会う約束を斎藤教授が取り付けて下さった。
「城北病院の周産期センター、本当に楽しみですね。」
『日詠先生・・・本当にありがとうございます。』
「いえ、僕は何も。」
病棟での処置を終えて戻ってきた日詠さんが俺の耳元でそう囁いた。
「でも、奥野さん、頑張りすぎちゃうところがありますから、どうか守ってあげて下さい。」
『・・・ええ・・・任せて下さい。』
奥野さんの知らないところで、彼女の1番目の恋の相手から彼女を守る役割を託された俺。
日詠さんという、俺にとってとてつもなく大きな壁に一切囚われることなく彼女を求めることができる状況に思わず身震いがした。
でも、身震いしている暇はない
臨床心理士獲得の当てができたって
日詠さんから奥野さんを守る役割を託されたって
これで全て乗り越えたわけじゃない
現在は寺川部長の手中にある奥野さんを
ちゃんと彼の手から解放してあげて
『奥野さんがやりたがっている、妊婦、産婦の心理的ケア・・・周産期で絶対にやってもらうんだ。』
彼女が何にも囚われることなく、医師という立場で叶えたい想いが叶えられるようにしてあげたいとこの時、改めて強くそう想った。