second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Okuno side 2:掻き乱され始めた感情】



【Okuno side 2:掻き乱され始めた感情】




「奥野先生、当直、代わってもらってすみません。」

『いいわよ。彼氏、待ってるんでしょ?クリスマスディナーだっけ?早く行ってあげなよ。』

「あ、ハイ・・・・来年のクリスマスはちゃんと当直しますので。」

『そんな先の話、今からするんじゃないわよ。お疲れ様。』


後輩産婦人科医師の真鍋が私服に着替え、申し訳なさそうに頭を下げて産婦人科スタッフルームから立ち去った。


『バックグラウンド、ブルーはありきたりだな・・・・ここはひとつ、ワインレッドとかにしてみようかな。』

彼氏が待っているであろう場所へ急ぐ同僚医師にお疲れ様を言った後。
当直をしながら来年の産婦人科学会の演題のスライドの背景の色やデザインをどうしようものかと頭を悩ます。


いつもなら時計なんか一切に気にすることなく、その作業に没頭

12月24日のこういう光景、今年だけじゃない
ここ数年続いている年中行事みたいなもの


でも、今年はちょっと違う

『あ~忙しいのに・・・・って、今日は急患もなさそうだし、平和だな~』

壁にかけられたシンプルなアナログ時計を何気に気にしているあたしがいる



『来いって言われたんだから、一応、行かなきゃね・・・・・』

「独り言なんて、珍しいですね~。で、どこ行くんですか?奥野先生。」

確かにあたしは独り言なんて口にするキャラとかじゃない



『いっ?!どこって・・・たちば・・・・』

「たちば・・・・?」

『あっ!!!!!あ~、トイレよ、トイレ。』

「たちばって言いかけませんでした?」

『・・・あっ、そうそう、なかなかトイレに行けない立場だからさ。』


明日の手術予定表を持ってきてくれた病棟の主任看護師さんにも怪しまれるぐらい・・・苦し紛れ感満載の言い訳
焦って言い訳するとかもあたしのキャラじゃないってば・・・


「トイレに行けない立場ってどういう立場なんですか?・・それに奥野先生がこんなにも動揺するなんて、そういうのも珍しいですね・・・」

『・・・はっ、早く行かないと・・・ぼ、膀胱炎になっちゃうから・・・それじゃ!』


でも、この病院内での橘クンの人気ぶりは
そういうのにどこか疎いあたしの耳にも入ってくるから
みっともない言い訳でも口にしておく必要あり

って、なんでこんなにも警戒心が高ぶらせる必要があるんだろう?

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