second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Okuno side 3 : 真意の見えないプレゼントと・・・】
【okuno side 3 : 真意の見えないプレゼントと・・・】
『おばあちゃんの形見・・・見つからないな~・・なんか、最近、ホントついてないや・・・』
ドクターカーで患者を搬送している橘クンと携帯電話で会話を交わした後、更に寒さを増している病院屋上。
そこで転落防止柵に手をかけながら、すぐ真下でピカピカ光っているLEDライトをじっと見つめる。
『お母さんに怒られるな・・・探しているけど見つからないし・・緊急オペの前に外したのは覚えているけど・・・・』
・・・クリスマスイヴにも仕事をする
・・・たったひとつしかないおばあちゃんの形見をなくしてしまう
・・・どんな用事かもわからず、いつ来るかわからない相手を勝手に待ち続けている
勉強も恋も一生懸命な女子高生だったあたしが見たら、こんな大人になってはいけないと眉間に皺を寄せるだろう
その頃のあたしの人生設計では
医大在学中に一生添い遂げるような相手を見つけて
晴れて医師になったら、その人と一緒に努力しながら一人前の医師になり
お互いに医師としての自信を持てるようになったら結婚する
子供ができても育児とバランスを取りながらも医師を続ける
それがあたしが女子高生だった頃のあたしの人生設計だった
それなのに、何ひとつロクに達成していないあたし
どうやったら
いつになったら
その達成感に満たされるんだろう・・?
『今、何時?・・・もうすぐ20時?!』
スクラブの上に白衣を着ているだけの薄着でグズグズと自分の人生を考えていて、さすがに寒さで凍え死にそうになったあたしは、院内PHSのディスプレイに映し出された時刻を見て驚いた。
この寒空の中、どれだけ病院屋上であるここでグズグズしていたんだろう・・・
『ドクターカー対応だったから、時間かかるよね。もう戻ろう』
ふわり・・・