second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『ちょ・・ちょっ!!!!』
「ほっぺも、唇も冷えてる・・・ちょっとおとなしくしていて下さい。」
さっきの突然のキスとは異なり、今度はあたしの冷えた頬に彼の温かい大きな両手を当てて、じっとあたしを見つめながらもう一度唇にキスを落としてくる彼。
今度のキスは
冷え切ったあたしの唇を温めようとしているかのように、何度も何度も優しく触れるキス。
薄暗く、光はクリスマスイルミで点滅を繰り返すLED照明だけという中なのに
普段ではありえないぐらいの、近過ぎる橘クンとの距離のせいで彼の様子がはっきりと見える。
あまりにも驚きすぎて目を閉じるのを忘れていたあたしには見えてしまっていた。
唇を重ねる瞬間に目を閉じて、離す時に目を開けてあたしの様子を窺う彼の優しい視線を・・・
あまりにも甘いキスを落とし続ける彼のせいで
とうとう息をするのも大変になったあたしは
腰が抜けたように崩れ落ちそうになった。
そんなあたしをひょいを支えながら立たせてくれた彼は
「かわいいですね。奥野さんは。」
キスをし終えた後でもあたしみたいに息を切らすことなく、相変わらずな涼し気な顔でそう囁いた。
『ちょっ!! ちょっと・・・どういうこと?!』
「そろそろ、頭の中を俺でいっぱいにして下さい。それじゃ。」
『は?ちょっと!!! 用事があったんじゃ』
「用事・・・まだありますけど、また今度でいいです。それじゃ。」
さらっとそう言い終えた彼は、ついさっきキスしたばかりの相手とは思えない、照れくささとか、やってしまった感とかが一切感じられない余裕の笑顔でさっさと立ち去ってしまった。