second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Okuno side 5 :彼の思うツボ?!】

【Okuno side 5 :彼の思うツボ?!】


ER(救命救急センター)からのコールを受けて、大急ぎでERへ駆けつけた。
あたし以外にも何人もの医師が救急患者を診察していて。

その中には、

「ここ最近、お通じありましたか?」

「どうだっけ・・・?ねえ、まきちゃん、うんち、出てた?」

「・・・えっと・・・ででない・・・」

「最後にうんちいたのいつ?」


さっきまであたしが捜していた新生児科医師の橘クンもいた。


『ここだったんだ・・・新生児科だけど、小児患者も診ることあるんだ・・・』


新生児科医師でも、小児患者を診ることもあることは知ってはいたけれど、実際にその様子を直に見たことはなかった
しかも、橘クンがコミュニケーションがとれる年代の小児患者とのやりとりをしている姿も新鮮で、急いでいるはずのあたしなのについ立ち止まってしまう。


「奥野先生、こっちです!」

『あっ、ごめんなさい。どういう患者さん?すぐに処置が必要そう?』


でも、さすがにここはER。
時間が勝負な患者さんもいるわけで、あたしも橘クンの新鮮な姿を見続けている場合ではなかったようだ。


「妊娠30週の妊婦さんです。夕方から急に高熱があって、解熱剤をドラッグストアに買いに行ったけれど、この週数では市販の解熱剤は勧められないと言われたので、受診されたそうです。」

「あ~、処置はいらなさそうね・・・一応、ひととおり確認はするけど。」


時間との勝負を覚悟したはずなのに、妊婦さんではない患者さんなら、解熱剤を常備しておいてよ~と溜息をつく案件。

でも、市販の解熱剤の中でも、出産予定日12週以内の服用は禁忌となっている製品もあるため、注意が必要。

感染症による高熱だと、解熱剤で無理矢理さげるのもよくないこともある。

だから、この妊婦さんが夜間帯でもこうやって救急受診されるのは仕方がない。
しかも、今日は金曜日で、明日、明後日は土曜、日曜日で外来は休診日だから尚更だし。



「先生、すみません。解熱剤をもらうだけで救急に受診してしまって。」

『いいえ。ちゃんとドラッグストアの店員さんが受診を勧めて下さって良かったです。どっちみち明日、あさっては休診日でしたし。』

「そう言って頂けると助かります。申し訳ないなと思いながらここへ来たので。」

『あまりお気になさらず・・・感染症もなさそうですし、早く解熱剤を飲んで、体を休めましょう。』

「はい!」


申し訳なさそうに診察を受けていた妊婦さんが安堵した表情になる。
あたしはただ解熱剤を処方しただけなんだけど。
でも、切迫早産とか妊娠高血圧症候群の増悪などの緊急を要することでなくて良かった。

さっきまで屋上で業務とは全く異なる時間を過ごしたせいで、緊急対応がちゃんとできるかちょっと不安だったあたしはほうっと胸を撫でおろしながら、医局に戻ろうとした。

その時だった。


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