second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
悪友の前でこぼした本音。
でもわかっている
森村はネガティブが大嫌いな男
だから、このまま聞き流してなんかくれない
だからこぼした
本音を
「ば~か。覚悟決めずに同意を得ないでキスとかすんな。」
『・・・・・・・・』
「責任取るとか思うなよ。ぶっちぎれよ!!!!本気なら。」
期待通りの返答を俺にぶちまけた森村は、電話口でも遠慮なくメロンパンを再びむしゃむしゃと食べ始めた。
会話の途中でも彼が電話口で遠慮なく食べる時は、言いたいことをもう言い終わったということ
それはヤツと付き合いの長い俺だから知っている森村の習性
だから、その彼に言うことはたったひとつ
『おう。』
わかったよという気持ちをこめた返事だけ。
その後はいつも通り、お互いにほぼ同時に通話終了。
『笑い飛ばされるどころか、怒られた・・森村に・・・ははは。』
森村に笑い飛ばしてもらえなかった俺は自分で乾いた笑いをこぼす。
彼との電話でこんなにも後味が悪かったのは初めてかもしれない。
でも、こうなったのも俺が悪い。
『押す、引くを上手く使いわけろ・・・と・・ぶっちぎれ、本気なら・・か・・・』
ベテラン看護師佐藤さんと大学同窓生で悪友の整形外科医師森村
信頼しているふたりからの、真逆なアドバイスに戸惑わずにはいられなかった。
そんな俺は食べ終わったカップ麺のそばに置いたままだった手書きのメッセージをじっと見つめることで何が正解なのかをずっと考えた。
『とんでもなく押しちゃったんだから、今度は引く・・・だよな・・・しばらくは、おとなしく仕事するかな・・・でも、本気なんだ。本気だから、冷静に・・・。』
この時、俺が出した答えは
敢えて奥野さんに自分のことをどう想うかという答えを求めるのではなく、
“自分がすべきことイコール仕事をきちんとすることに徹して、彼女の様子を見る”という大人ぶったずるい解答だった。