second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
【Okuno side 7:2つ目の難しい宿題と当直明けの電話】


【Okuno side 7:2つ目の難しい宿題と当直明けの電話】


『電話するって言ったけれど、そういえば、あたし、橘クンの電話番号、知らない。』

「そういえばそうでしたね。」


大晦日の夜。
年明けの除夜の鐘がまだ鳴り響く中、今晩の当直明けに一緒に初詣に出かけることにした橘クンとあたし。

あたしがこの病院に異動してきて2年ぐらい経つけど、彼とプライベートでのやりとりは一切なかった。
同世代の、異性の同僚との電話番号交換なんて久しぶりかもしれない。


『聞いても、いいの?』

「もちろん。俺が聞いてもいいですか?」

『・・・うん。あたしの番号は・・・』


ピリリリ♪ピリリリ♪


「すみません、コールが・・・」

『出てあげて。あたしもそろそろ戻らなきゃいけない時間だから。』


彼は軽く会釈しながら、あたしから視線を外し、通話ボタンを押してそれを耳に当てる。

「はい、橘です・・・」

彼が視線を外しながら体の向きを少しずらしたことで、照明の光の角度が変わり再び彼の表情が見えやすくなる。


鼻筋がきれい
顎のラインも引き締まっている
通話内容に集中しようとしているのか少し視線が鋭くなった瞳
背が高く鍛えられているがっちりとした体

病院の多くの女性職員から注目される人物なんだと改めて痛感せずにはいられない


「あ~、そうですね・・・・戻ります。」


誰が見ているかわからないところで病院イチのモテ男と話したら、彼に魅了されている人達がどう想うんだろう?


「奥野さん?」

『あっ、電話終わったんだ。』

「ええ。」

そう返事をしながら彼は白衣のポケットから手帳を出し、そこに挟んであった名刺を取り出して、その裏面にさらさらと電話番号と書いている。

「電話下さい。仕事終わったら。」

そう言いながら名刺を差し出された。
こういうやりとりを彼とするなんて思っていなかったあたしはどきっとしながらそれを受け取りじっと見つめる。
日詠クンと同様な達筆な数字に見とれてしまう。
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