second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
『・・・んっ・・』
元旦の午後10時。
見舞客、病院の外来スタッフ、そして、勤務中の病棟スタッフも、もう誰もいないと思われる病院玄関の送迎レーンの一番端に停めたままの彼のクルマの中。
その助手席に座ったままのあたしに彼から降ってくるのは全身の力が抜けてしまうような甘いキス。
彼とのキスは2度目
1度目はクリスマスイヴ
まるであたしの唇を温めてくれようとしているような優しいキスだった
でも、今はキスの先までこっちが欲しくなるキス
ついさっきまでは、その先まで欲しがってはいけないと自分に言い聞かせていたのに・・・
それを我慢できなくなったあたしはそのキスをもっともっと深く受け止めようと彼の首元に自分の手をかけようと手を伸ばす。
「ここではちょっと・・・止まらなくなる、俺。」
『あっ、ここ・・・病院の玄関・・・』
「そろそろ帰りましょう。」
そう言いながら彼は首元に近寄っていたあたしの手をきゅっと掴み、その手の甲に軽くキスを落とす。
その伏し目がちな横顔がセクシーすぎて、あたしは自らその手を引っ込めてしまった。
『帰る・・の?』
「ええ。」
『・・・・もう?』
また“ええ”と言いながらクルマのアクセルを踏んだ彼。
今夜だけ彼を求めることを受け入れたあたしはすっかり甘えたモード。
普段の、白衣を纏って従事している時の冷静沈着でいなきゃいけない自分にとって、今の自分はあり得ないけれど、今はもう止められない。
「雅さん、手、貸して下さい。」
『えっ?こう?』
突然の彼からの手を貸せ促しに素直に応じたあたし。
あたしが差し出した右手を彼は左手で受け止めぎゅっと握り、そのままシフトレバーの上にそっと乗せる。
「俺、今夜は帰さないって言った・・・けど?」
『だって今、帰りましょうって・・・』
「俺の家に帰るんですけど・・・雅さんと一緒に。」
正直驚いた。
彼の、俺の家に帰る発言。
それと今の、クルマの中でまで手を繋いでいるこの状況にも。
『だって、橘クンの家とか・・・マズイんじゃ・・・』
だから、彼のことをまず心配する。
今まであたしを抱いた男達は誰ひとりとして、彼らの自宅にあたしを連れて行ったことはなかったから。