second love secret room クールな同僚医師の彼に溺れる女神:奥野医師&橘医師特別編完結
玄関先で立ったまま橘クンに抱きしめられているあたし。
もちろんドキドキしている。
でも、なぜかそれと同じぐらい安らぎを覚える。
彼が守るべき存在である子供と毎日向き合っている小児科医師だからなのだろうか?
「時間がいくらあっても足りない。」
『・・・・?』
「今の・・こういう時間すら手放せない。」
その言葉を紡いだ彼の様子が気になり、抱きしめられたまま顔を見上げたあたしにキスを落とす。
彼のキスからも安らぎを覚えるあたし。
そのキスがもっともっと深くなるに従って、その安らぎが胸の疼きに変わる。
この変化も過去のあたしは経験したことのない感覚。
「情けないけど、余裕もない・・・」
もっとそのキスが欲しいと思っていたあたしから唇を離し、そう呟いた彼は抱き締めていた腕の力を緩め、すぐさまあたしの手を引いて玄関から先へ進んだ。
そうやって辿り着いたのは、彼の寝室。
彼はドアを開けてもルームライトは灯さずに、ベッドの傍にある淡いクリーム色の光を放つフロアスタンドライトを灯す。
明るいとは言えない今の寝室内の色調はわからないけれど、そこにあるのはダブルベッド、その傍には小さな木製の3段キャビネットとロッキングチェア。
それ以外に余計なものはなさそう。
彼はダブルベッドの傍に近付くと繋いでいた手をようやく離し、ジャケットを脱ぎ捨てる。
隣にいるあたしも着ていたロングコートとジャケットを彼に脱がされてからそっと座らされる。
そのままベッドに押し倒される・・・
そう思ったのに、彼は彼自身もベッドに腰掛け、そのままあたしをぎゅっと抱き締める。
彼の胸に耳が当たっているあたしには、彼の、壊れそうなぐらい速く打つ胸の鼓動がダイレクトに聞こえてくる。
それに驚いて彼の顔を見上げたあたしに彼はまたキスを落とす。
今度は息もできないぐらいの深いキス。
『・・・・ん・・・』
頭がぼーっとしてきて漏れた声。
それを境にして、彼の舌があたしの舌を捉えゆっくりと絡み始める。
息遣いに気を遣えないぐらい舌どうしが絡んで夢中になるあたし。
まだ服を着たままなのに既に自分の全身が敏感になっている。
「ごめん。まだ寒いかもしれないけれど・・・やっぱり余裕ない・・・」
キスでうっすら濡れた唇を指ですうっと拭った彼はそう言いながら、あたしのブラウスのボタン、そしてブラジャーを器用に外し、あたしをベッドへそっと寝かせた。