神様の操り人形
六回目の人生
俺は政治家として国を動かしている。国民の生活をより良くするために働いているんだ。でも、この世界は正直者が馬鹿を見る。真面目にやっていても幸せは掴めない。だから俺はこうするのさ。

「先生、こちらが今月分になります」

かばんいっぱいに詰め込まれた現金を渡す。すると、相手はニヤニヤと嬉しそうに笑うんだ。

「国民から支持を得るために私を使うとは、悪い男だ」

「これも全て、国民の幸せなためです」

庶民が決して入ることのできない高級料亭の個室。宝石のように美しい料理が並んだテーブルに向かい合い、先生と俺は話す。

「今月は三百万か。いつもより少ないじゃないか」

「……すみません。今月は色々と予想外のことがありまして」

悪い男だとさっき先生は言ったが、悪に集まるのは善人なんかじゃない。それはフィクションでも現実でも同じだ。

「そういう時は、うまく言って金を用意するものだよ。バレたって「記憶にございません」と言えばそれで通るんだ」
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