恋と旧懐~兎な彼と私~

弘は何故か吹き出していて,暁くんがそれをジロッと睨んだ。

え? 本当に!?

私は未だ信じられない。



「ぇっあっと,明後日の土曜日だから……」

「……はぁ,後で時間も教えて」



人気者の彼の返事に,教室がざわめいたのが分かったけど,私もこれは譲れない。

ってか待って!? 弘は…結局来ないの? 二人きり? そこまでの気持ちの準備は出来てない!

心の中で悲鳴が上がる。



「愛深さん,余ってるなら私も行ってもいい?」



1人テンパっていると,そんな声がかけられた。



「えっあたしも~!」



1人は大人しめな女の子で,もう1人は自分が可愛いと自覚している系の可愛い女の子。

2人は友達という風ではなかったけど,目的は同じのよう。



「えっあっ……えぇと」



丁度4人,チケット代も無駄にならないし,譲られた私はそれがいいんだと思う。

ただ,プラネタリウムに興味があるだけならともかく,この2人は私がみてきた限り暁くんが好きだ。

ちょっとだけ不安。

楽しめないかもしれない。

でも,ただ好きなだけの人間なのは私も変わらない。

そんな意地悪言ってちゃいけないよね。

暁くんもただなら何でもいいみたいなこと言ってたし。

仕方ない。

もともと二人だけの予定ではなかったしね。

順序だてて,私は諦めの準備をする。
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