恋と旧懐~兎な彼と私~
「暁くん?」
「足元,気を付けて」
「あっ,はい」
暁くんに連れられた部屋は,強盗にでもあったのかと思うほど散らかっていた。
時折見える高そうなバックや時計が,ひどくアンバランスだ。
暁くんは私の手を引いて,小さなテレビの前にある,緑色のソファにどさっと倒れるように座る。
「愛深も座っていいよ」
「う……暁くん! ほっぺ,傷」
隣に並ぼうとした私の目に写ったのは,暁くんの綺麗な顔についた,刃物で切ったようなシュッとした傷。
血も出たのではないか。
それを見て思う。
処置しなかったからだろう傷の周りの固まった血を見て,私は泣きたくなった。
なんで手当てしてないの。
「消毒と,コップと,ガーゼは?」
「大丈夫だから」
「いいからどこ!」
「はぁ。コップはあそこ。あとは救急セットが多分ーーー」
「足元,気を付けて」
「あっ,はい」
暁くんに連れられた部屋は,強盗にでもあったのかと思うほど散らかっていた。
時折見える高そうなバックや時計が,ひどくアンバランスだ。
暁くんは私の手を引いて,小さなテレビの前にある,緑色のソファにどさっと倒れるように座る。
「愛深も座っていいよ」
「う……暁くん! ほっぺ,傷」
隣に並ぼうとした私の目に写ったのは,暁くんの綺麗な顔についた,刃物で切ったようなシュッとした傷。
血も出たのではないか。
それを見て思う。
処置しなかったからだろう傷の周りの固まった血を見て,私は泣きたくなった。
なんで手当てしてないの。
「消毒と,コップと,ガーゼは?」
「大丈夫だから」
「いいからどこ!」
「はぁ。コップはあそこ。あとは救急セットが多分ーーー」