恋と旧懐~兎な彼と私~
お母さんとか帰ってこないのかな。

そんな心配をしたのは30分くらい経った時。

うちのぱぱはもう帰ってくる頃だ。

心の中でそわそわしていると,熱でよく眠れなかったのか暁くんが起きた。



「……愛深? あーそっか。俺,変なこと言ったりしたりしてない?」



変なことの定義が分からないけど



「してないよ」

「…そ。ってゆーか俺,1人で男の家に行くなって言わなかった?」

「言われたけど,暁くんもだめなんて思わなかったから」

「何かあったらどうするの」

「何かって? それに,暁くんはひどいことしないし,暁くんにされて怒るようなこと,この世にあんまり存在しないと思うんだけど」

「……もういい」



暁くんは,見慣れた呆れ顔で追求するのを止めた。
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