恋と旧懐~兎な彼と私~
……なんか,視線を感じる。

ただでさえ耳に熱が集まっているのに,それをじっと見られているような気がする。



「なに?」



確認しようと後ろをチラ見すると,やっぱり暁くんと目が合う。

なにってこっちのセリフ……



「唯兎と愛深なんかあったん?」

「ふぁ!? んへ!?」

「なにそれ」



私は恥ずかしくて口を塞ぐ。

驚きとなんでとへ? が混ざりあった結果だ。



「な,なにもないけど……なんで?」

「だってなんか変じゃん? お前ら。俺たまに唯兎のクラスの前通ってたんだけどさ,愛深可愛いし楽しそうだなって思ってたわけ」

「かっ……別に,可愛くないし」



フイッと顔をそらして必死に取り繕っても,照れが上回った。



「何変な顔してんの? でもさ,なんか今の愛深は唯兎を過剰に意識してる気がする」
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