恋と旧懐~兎な彼と私~


電車に乗って数駅。

私と暁くんの住む市が違ったため,施設のある市までは個人で向かうことになって。

私が駅からでて向かったのは,待ち合わせの,駅前にあるコンビニ。

ウウィーンと扉の開く音と,聞き馴染んだメロディーを聞く。

やっぱり夏のお昼は暑いなぁなんて思いながら入って,待ち合わせを店の中にしてよかったと安心した。

暁くんは今頃準備してるか家を出た頃かな。

そんな想像をしてると,暁くんのやけにリアルな声が聞こえた気がした。

やばいな私,暁くん好きずぎでしょ。

ひかれちゃうかも……

そんな風に思った時



「なんで無視するの,愛深」

「えっ」



本物…?!



「えっなんで」

「それは愛深もでしょ,早すぎ」



暁くんの言葉で,私が出る時間を間違えたわけじゃないことを知る。



「へへっ」



どうしよう。

涼しそうな白いパーカーに藍色の長ズボン。

驚きで一瞬気にしなくてすんだけど,すっごい格好いい。



「お昼はちゃんと食べた?」

「うん」



そんな会話も,ドキドキがすぎる。
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