恋と旧懐~兎な彼と私~
「そう」



暁くんはそれだけ私に返して,私はやっぱりと安心する。



「そうするとね,友達と共通の話題とかできても,ラグがあってあんまりしなくなっちゃうの。そうしてバランスとっていくと,友達とも仲良いままで,心がほんの少し離れるのを何度も感じて。誰の一番にも私はなれないことを知る」



だから,だから私は



「とても綺麗で,優しくて,変わらない星達がすき」



そうだ,そうだった。

空がすきなんて,空を眺めるなんて,私にとって小さな頃から当たり前で,気付けなかったけど。

本当の理由は,そこにあった。

寂しくて仕方ない,贅沢なことを望む私の本音が。

誰かの一番なんて,大切にしてくれるならいらない。

でも,せめて変わらないで欲しいと願う私の本音が。

口に出すと,心が軽くなったような気がした。

私が口に出せたのも気付けたのも,暁くんがいたから。

私は暁くんの方に視線を向けた。
< 19 / 161 >

この作品をシェア

pagetop