恋と旧懐~兎な彼と私~
「…他のは?」

「私が使うから大丈夫だよ? もともと欲しいと思ってて,3つもいらないから」



台紙についてる3つのピンを指差す暁くんに,私も真似るようにして答える。



「…そ」



私から返事を受け取った暁くんは,すたすたと会計へ向かう。

まさか…!



「ちょっ,いいよ暁くん! 自分で払うから」

「すみませんこれ1つで」



止めようとしても,背の高い暁くんに遠くにやられては奪い返せず,暁くんは1人で会計をしてしまった。

何か勘違いしている定員さんにもくすくす笑われて,なんだか居たたまれない。



「袋はどうなさいますか?」

「そのままで下さい」



暁くんは裸のままの商品を受け取って,またもやすたすたと出口へ向かう。
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