恋と旧懐~兎な彼と私~
「……弘」
「ん? なに,唯兎」
「はぁ,何でもない」
からかうように笑う弘と,諦めたような表情の暁くん。
よくある男の子の雰囲気。
でも,きっと私には教える気のないものだ。
「あっ。愛深ってさ,俺達の隣の市に住んでたよね。今度そこに住んでる友達と,なんかちっちゃい祭り? かなんかに寄るかもなんだけど,知ってる?」
首をぐりんと回して尋ねる弘。
私は自由なやつだなと思いながらも答えた。