恋と旧懐~兎な彼と私~

さみしがり屋な兎。不安の紫

「あっ暁く……」
            
            
           
ーガタッ     
            
            
           
「わっ……え?」      
            
「…トイレだけど」     
             
「あ,そう。いってらっしゃい?」
            
             
             
月曜日の昼休み,私がいつも通り暁くんの元へ行くと,暁くんは席をたった。
             
なんか機嫌悪そう?     
              
              
           
「なんかあったの?」
            
「さぁ? 昨日からあんな感じだから気にしなくていいよ」
            
「そうなんだ」
           

              
弘に聞いても,分からないらしい。

             
           
「昨日さ,唯兎に会った?」

「会えなかったよ?」
           
「じゃあ,幼馴染みって男?」
            
「そうだけど」
           
            
            
それってなにか関係あるのだろうか。
           
関係あるってことはつまり。
           
            
            
「暁くんは今,私を避けたの?」
           
             
            
プツリ,私の柔らかくて,風船のように弱い心臓を針で刺されたような痛み。
              
避けられた理由は分からないけど,涙だけは必死にこらえる。   
             
しまったという顔をして押し黙る弘を前に,私はそれが事実であることを知った。
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