恋と旧懐~兎な彼と私~
「幼馴染みねぇ」   
             
             
             
どうしてそこばかりに固執するんだろう。
           
             
              
「男だって意識することはなかったの?」
             
「いや,あるよ?」    
           
「えっ!?」
           
          
             
あぁ,そういう意味か。  
           
珍しいのかもしれない。
           
でも自分で聞いておいて普通驚く?
             
             
              
「小3の時にね,そいつと私のちっちゃい部屋でかくれんぼした時。狭いから隠れるとこなんてないの」      
            
「ほんほん」      
            
「するとだいたい毎回のようにベッドの中に潜り込むんだけど,私が鬼だったときに,見つけたって抱きついたわけ」  
           
「それで?」        
            
「そいつの匂いがぶわってして,ビックリして,私とは違うものだって思った。当たり前なんだけど。でも当たり前だって一瞬で気付いて,次の日にはだから何って思ってた。それが初めて男だって思った瞬間かな」
         
「は,はぁぁ」
           
「なんなのもう」  
          
            
             
気になるみたいだから答えてあげたのに,随分失礼じゃないか。
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