恋と旧懐~兎な彼と私~

           
              
             
「暁くん!」    
            
           
             
人が多い中で声を張ったりしない暁くんも,そんなこときっと分かってる。
          
           
              
「ど…」          
          
「ちょっと,来て」     
            
           
           
グイッと腕をひかれて,思わずつんのめる。
           
             
            
「え,と…どこに?」
             
「どこでもいいでしょ」
           
           
            
まぁ,それは確かに。  
           
そこで納得してしまうのが私だ。 
            
強引にすたすたと,それでも痛くない力で私の腕をひく暁くん。
          
別に断る理由はなかった。  
< 57 / 161 >

この作品をシェア

pagetop