恋と旧懐~兎な彼と私~
「愛深は俺のなんじゃないの?」
不安そうに,どこか躊躇って出たのは,そんな言葉。
いつか2人で出掛けた時のように,儚さや危うさ,そんなものを感じさせる子供のような瞳。
「……そうだよ!」
私に恋愛感情のない暁くんが使うには,どこか危険なニュアンスだったけど,私は別に気にしないし,間違ってないとも思う。
「はぁ。そ」
「うん」
いつもの,柔らかくて温かい,どこか呆れたような眼差し。
暁くんは深く息を吐きながら,溝の奥の,少しのアスファルトの上に座った。
私もそのとなりに座る。