恋と旧懐~兎な彼と私~
暁 唯兎(あかつき ゆいと)
名前まで格好いい彼は,初めて私が好きになった人。
入学して2ヶ月,そこから恋に落ちて2ヶ月くらい経った頃,私は彼に自己紹介をして,告白して,フラれた。
分かってたから,私もすぐに受け入れた。
ここからだと自分を鼓舞して,これから話しかけてもいいかと聞いたら
『……好きにしたら』
そう言われたから,あの日から更に2ヶ月、私は毎日1つ教室を挟んだ先にある彼の教室に通っている。
夏休みが終わったばかり。
もう,8月も終わるのか。
告白の時,声が震えて吐きそうになったけど,多分彼はそんなこと知らない。
強がるのは,得意だから。
そして今日,私はあの時のようなドキドキを,今日は持っていた。
大丈夫かな……
私は祈るような気持ちでそれを握りしめた。