恋と旧懐~兎な彼と私~
「あの,態度って言うのは?」

「遠慮なく肩叩いたり,うで引っ張ったり。弘にはするかもしれないけど,俺にはそんな風に軽々しく触れたりしないでしょ」

「や,それはだって」



そんなの,暁くんは



「特別じゃん,暁くんは。私だって,恥ずかしんだよ。そんなの」

「ん……そ」



どこか言葉につまった暁くんは,体操座りをした体勢で,うでの中に顔をうずめた。



「暁くん」



もしかして



「仲間外れみたいで,嫌だったの?」

「は? そんなわけ」

「私が遠く感じるの,寂しいって思ってくれた?」



暁くんの中に,そう思ってくれるくらいには,私はいる?

そうだったら,すごく嬉しい。



「……はぁ。まぁ,愛深がいなくなったところで寂しくはないけど。急にいなくなっても変だから,近くにいて」



いれば,じゃなくていて。

そんな些細なことがこんなにも嬉しいの。

大好きだよ,暁くん。



「あ,そうだ。あいつね,伊希って言うんだけど,大好きな彼女がいるから心配しなくて良いよ。しかも結構長いの」
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