恋と旧懐~兎な彼と私~
「相手は小さい頃から私が一方的に大好きな女の子。最初は頭沸いたのかと思ったけど,本当で,今も付き合ってる」



初めて聞いた小4の時,スッゴク驚いたのを覚えている。

あれは,昨日と同じ小さなお祭りの日。



『あれ伊希じゃん。彼女?』



ボランティア活動をしていた年上の男の人ひに,何度目か分からないからかいを伊希が受けた時。



『や,幼馴染み。ってか俺彼女いるから』



私は息を飲んだ。

そしてそのまま何事もなかったかのように過ごして,帰り際,私はどうしても気になって尋ねた。



『伊希,彼女いるって本当? あんたさらっと言うから私も聞いちゃってて』

『うん。別に隠してないからいいよ』

『誰?』

『美愛(みあ)』

『は? 告白したの? されたの? っていうかちゃんと好きなの?』



美愛は可愛くて頭がよくてお茶目で,まさか伊希なんかがと思った。



『どっちでもない。でもお互い付き合ってると思ってるし,俺も好き』

『なにそれ,ちゃんとしなよ。ってか勘違いじゃないの? 頭イカれた?』

『は,違うし』



ずっとただの伊希だったのに,そんな伊希が1人の女の子を好きだと言う。

衝撃だった。

私の知ってる伊希はいつも澄ましてて,そんな話したことなかったから。
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