恋と旧懐~兎な彼と私~
そこからの会話の記憶は一切ない。
何か一言二言言って別れた気がする。
1人で歩く帰り道。
伊希の姿が見えなくなった途端に
『あ……れ? なに,これ』
涙がぼろぼろこぼれた。
理由の分からない涙なんて初めてで,すごく唐突だった。
『私,伊希のこと好きだったの?』
そうとしか思えなくて,でもそうだと思うには違和感がありすぎた。
私は2週間じっくり考えて,付き合っていると言う2人を眺めて過ごす。
2人は恋人の空気感とかは分かりずらくて,ベタベタしたり笑顔が多いと言うことはなかったけど,交わされる眼差しが,確かに違っていた。
そして,わかった。
『私,寂しかったし怖かったんだ』
そんな結論。
伊希が私の知らない人になって,どこか特別だと思っていた自分がそうではなくて。
いろんな所に連れ出してくれた唯一の人だった伊希を,いつの間にかお兄ちゃんのように思っていた自分を知った。
そして,それがいつまでも続くものではないことにも気がついて。
私が初めて伊希を遠慮する時が来てしまったのだと悟って。
変わらないと思っていた伊希が,既に変わっている現実を突きつけられて。
感覚が一瞬だけ麻痺しただけだった。
何か一言二言言って別れた気がする。
1人で歩く帰り道。
伊希の姿が見えなくなった途端に
『あ……れ? なに,これ』
涙がぼろぼろこぼれた。
理由の分からない涙なんて初めてで,すごく唐突だった。
『私,伊希のこと好きだったの?』
そうとしか思えなくて,でもそうだと思うには違和感がありすぎた。
私は2週間じっくり考えて,付き合っていると言う2人を眺めて過ごす。
2人は恋人の空気感とかは分かりずらくて,ベタベタしたり笑顔が多いと言うことはなかったけど,交わされる眼差しが,確かに違っていた。
そして,わかった。
『私,寂しかったし怖かったんだ』
そんな結論。
伊希が私の知らない人になって,どこか特別だと思っていた自分がそうではなくて。
いろんな所に連れ出してくれた唯一の人だった伊希を,いつの間にかお兄ちゃんのように思っていた自分を知った。
そして,それがいつまでも続くものではないことにも気がついて。
私が初めて伊希を遠慮する時が来てしまったのだと悟って。
変わらないと思っていた伊希が,既に変わっている現実を突きつけられて。
感覚が一瞬だけ麻痺しただけだった。