恋と旧懐~兎な彼と私~
「それが,美愛ちゃんを諦められない私は,当たり前なのにすごく哀しくて,悲しかったの」



なにも考えずに話し始めたから,オチが見つからない。

だからなんだって思ったよね。

私は,何がしたかったんだろう。

暁くんに何を求めたのだろう。

離れていかないで……

コクリと肺の辺りに落ちていく。

自身に驚いたその瞬間。

ーぽふ。

うつむく私の頭に,緩く手のひらが置かれた。

私はびっくりして,でも撫でられることが好きで嬉しくて,はにかみながら暁くんを見上げる。



「どうしたの?」

「いや,これは……まぁ,あんたなりに頑張ってるんじゃないの」



知らないけど,と語尾につきそうな言葉。

よく分からないけど,もしかしたら慰めてくれたのかもしれない。

こんな駄々っ子のような気持ちと私を,暁くんに肯定されたのが嬉しかった。



「ありがとう。やっぱり暁くんは……」

「なに?」

「…やっぱ言うのやーめたっ」

「なにそれ」



暁くんは私のほっぺを片手でうにょんとする。

全然痛くないよ,暁くん。
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