恋と旧懐~兎な彼と私~




帰り道,一人になって思い出す。

中学校の入学式の日,ままの身支度が遅かったこと,そして徒歩十五分の距離なのに車で道を間違えたこと。

そんなしょうもないことで,私は遅刻してしまったこと。

しかも,座席のふわふわとした小さな毛がたくさん制服についてしまっていて。

当然印象はよくはない。

ちょっと焦ってしまった。

前途多難だな……そう思ったのを憶えている。

幸いもともと友達は多かったし,新しく友達も何人かできた。

でも……

波玖を筆頭とした,あまり話したこと無い男子に目をつけられた。



『またサボったのかよ』



今こそ月1程度だが,当時の私は週2くらいのペースで休んでいた。

それは病気で頭痛がするのが原因で,決して
サボりではない。

休んでも寝ているのが殆どだ。



『普通頭痛くらいで休む?』



そして彼らは勘違いをしていた。

私は頭が痛いから休んでいたのではなく,頭がいたくて学校に行けないから休んでいると言うのに。

不定期的にしょっちゅう,それも彼らが思うよりもずっと苦しい痛みが襲う毎日や,それによって起こる弊害なんて理解しようとすらしなかった。

彼らもまた,私にとっての弊害だった。

私は彼らがエスカレートする前,たまたま委員会の担当だった先生に世間話を装って相談した事もある。

でも,話し方が悪かったのか……



『ははっ男子なんてそんなもんだよ』



いい先生ではあって,めんどくさいとかには見えなかったけど,分かってもらえなかった。

数人ではないことや,悪意が少なからずあることを理解してはもらえない。

ショックだった。

それでも私は,話し方を変えて更に二回訴えた。

なのに,返ってくる答えと表情は変わらない。

でも,同じ委員会の,違うクラスで私の現状など知らなかった友達は理解したようで,気の毒そうな顔が心に刺さった。

エスカレートしてからは,教室を少し移動するだけでも神経がすり減った。

だけど……
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