恋と旧懐~兎な彼と私~
私たちの関係

透明な雫

冬が来た。

私は相変わらず暁くんが好き。

時間と共にあらゆる学校行事が過ぎて。

むしろ毎日好きになっていく。

暁くんを知りたい,近づきたい。

そんなことを思っていた私の気持ちは報われていた。

目を合わせて話をしてくれるところが好き。

たまにふっと目を細めて笑うところが好き。

ドキッとする。

暁くんは……何か困ってるのかな。

私は最近こんなことを考える。

だって優しい観点をもてるのは,どこかでは必ず優しい人なのと一緒で。

人に寄り添えるのは心の面で同じような経験をした人だけだと思うの。

それに,時々暁くんは幸薄そうっていうか,楽しいときは楽しんだろうけど……

うーん。

難しい。

私に出来るのは,弱音を吐きたくなったときにそうさせてあげることだけ。

もし本当にそんな日が来たのなら,私は暁くんの心に土足で踏み込もう。

それで嫌われたとしても,人間一番怖いのは孤独でいることだ。

必要なのは土足で踏み込んで傷つける勇気。

でも、いまはそんなこと考えても仕方ない。

そもそも私が勝手に思ってるだけの話だし,
冬休みが近い。

それすなわち,クリスマスが近いということ。

誘ってみよう。

そんな風に,思っていた。

一時間でも会えたら。
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