恋と旧懐~兎な彼と私~
「ベーグル?」

「うん! 陽菜……友達が美味しかったって言ってて。買ってどこかで食べない? 暁くんとこの市内だから,バイトも遅れないと思うよ」

「ん,わかった。後はどっかぷらぷらするでいい?」

「うん!」



え,ほんとに,ほんとに良いのかな。



「ん」



暁くんはスマホを私に見せる。



「え,と?」

「連絡先。俺駅で待ってるけど,多分人多いでしょ。すれ違っても良くないから」

「え,え」



そんなの,そんなのいいの!?



「まぁそれ以外でも,普段なんか言いたくなったら使っていいし」



連絡先を交換すると,暁くんがわざわざそんなことを言う。

あくまで念のためだと思っていた私は仰天した。



「いや,大丈夫。多分できないし。でもありがとう。待ち合わせで活用させて貰うね」



この小さな画面の中に暁くんの連絡先が……

私は茫然と言葉を返した。
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