鬼弁護士は私を甘やかして離さない
2人でくっつくように眠り、日曜日は恵介の荷物が何もないため私がお泊まりの準備をして恵介の部屋へ向かうことになった。

恵介の部屋は最近の忙しさを物語るように以前来た時よりもさらに乱れていた。
ソファーにネクタイが数本投げられていたり、シンクのカップも多数並んでいた。
新聞もカフェテーブルにいくつも置かれており、恵介は慌てて片付け始めた。

「真衣、ごめん。いつもより更に汚かった。こんなことになってるなんて自分のことながら気にしてなかったから忘れてたよ」

「それだけ恵介は仕事に全力投球なんだよ。気にしないで。困ってる人を助けるのが恵介の仕事でしょ。ささっと片付けるね」

「ごめん……」

私は腕まくりをして新聞をまとめ、ソファーにあったスウェットやワイシャツを持ち洗濯機に向かった。
洗濯機の中には既に沢山の汚れ物が入っていたので私はまとめて洗濯し始めた。
回っている間にカップを洗い、お湯を沸かして2人のコーヒーを入れた。
そうこうしている間に掃除機を持ってきた恵介がかけ始めた。
私はバスルームへ向かい、掃除をしてると慌てて恵介がやってきた。

「真衣、そんなことまでしなくていいから」

「でも今夜私も入るんだから気にしないで。気を使うのはナシだよ」

恵介は情けなさそうな顔をしながら頭をかき、お礼を言ってくれた。

私は掃除から戻ると洗濯を干し、ようやく一息ついた。
淹れていたコーヒーが冷めていたけど私は掃除の合間に飲みながらするのが好きだから気にしない。
けど恵介は温かい方がいいのかも、と思い声をかけるがこのままでいいという。

綺麗になった部屋であらためてソファに座りコーヒーを飲んでいると恵介はつぶやくように私に声をかけてきた。

「なんだか新婚夫婦みたいだな。ちょっと照れくさいけど、真衣が俺の部屋にいるってドキドキするな」

私も同じことを考えていた。
恵介の洗濯を干していて、奥さんみたいだと思った。
ちょっと照れくさかった。
俯き気味になっていると恵介は私の手を取り、指を絡めてきた。

「いつか本物になりたい。ここは予約させてくれ」

私の薬指にチュッとキスを落とされたあと、誓いのように唇にも落とされた。

「うん」

一緒に買い物に行き、食事を作り、とても楽しい日曜日を過ごすことができた。
久しぶりに過ごす恵介との時間で胸の中が温かく満たされた。
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