鬼弁護士は私を甘やかして離さない
秋になり、斗真はお散歩のお誘いをしてきた。

散歩?
よくわからないけど今日は特に予定もなく斗真の誘いに応じた。
斗真はパンダを見に行こうと動物園の指定をしてきた。
初めてのパンダに私もテンションが上がり、2人で楽しく1日を過ごした。

夕方になり一気に陽が落ちると寒くなってきた。
持ってきたマフラーを巻くと顔が埋もれる。

彼が急に手を繋いできて、その手を自分のコートのポケットに入れてくれた。

「真衣、好きなんだ。付き合って欲しい」

すごく驚いた。
斗真がこうして遊びに誘ってくれたり、図書館に行くのは仲間だからだと思っていたから。
私自身そう思い込もうとしていたのかもしれない。
斗真に選ばれるわけがないと自分から予防線を張っていたのかもしれない。

でも、そのストレートな告白に私の答えはもちろんイエスだ。

嬉しくて声が詰まり、なかなか返事ができなかったがポケットの中の手を握りしめた。
それで気持ちが伝わったのか、顔を下から覗きこまれたと同時に顎を掬い上げられキスをした。

木の葉が舞う中、これが私のファーストキスだった。
< 4 / 41 >

この作品をシェア

pagetop