鬼弁護士は私を甘やかして離さない
家に帰ってからしばらくして斗真からメッセージが届いた。

【ごめん、今日外回りの後に資料まとめたり、連絡しなきゃならないところがあってバタバタしてた。もう帰ってる?夜道を歩かせてごめんな】

いつも変わらない優しい気遣いに胸の奥がチクッとした。

【急だったから気にしないで。でも今度話したいことがあるから時間とって】

【明後日の土曜はどう?久しぶりに出かけないか?】

【土曜で大丈夫だけど家に来て欲しい。話がしたいの】

【了解。大事な話?なんだか怖いな】

斗真のメッセージはいつもと変わらない。
そのことが余計に私を不安に陥れた。
斗真は私に嘘をついてるの?
もう付き合って5年だけどいまだに知らないことがあったなんて。
私の家に来てばかりで斗真の家のことは何も知らなかった。
実家暮らしだからうちに来るのが当たり前になってた。
私は斗真の生活空間に踏み入れたことがなかったんだと初めて気がついた。

そう思ったら不意に涙が溢れていたことに気がついた。

私は翌日パークドリーミングについて検索するとすぐに社長の名前が九重だと出てきた。
九重なんてそんなにある名前じゃない。
斗真とはどんな関係なの?

震える手を握りしめ、私は奥歯を噛みしめた。
どうして斗真は何も言ってくれなかったんだろう。
私のことを信用してないの?
もう彼のことがわからない……。
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