義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた






約束通り、次の日、噴水前で駆くんを待っていた。

スマホを見ると、『今から行く!5分後には着く!』という連絡が駆くんから来ていることに気づいた瞬間。


「ごめん、待った?」

「ううん。」


駆くんが来た。同じ家に住んるからか、外で待ち合わせをして会うと新鮮に感じる。


「お昼、学食にいなかった?友達と食べてるの見かけた。」

「駆くんも?…日替わり定食350円だった。安くてびっくり。」


新鮮で、なんだかくすぐったい。

横で口角を上げて笑う彼を見ると、胸中が騒ぎ立てた。


「……席どうしようか。前とる?後ろにする?」

「んーひっそりと授業受けたい。前だとリラックスして話聞けないし。」

「わかった。じゃあ、一番後ろ取ろうか」


たわいないけれど、家ではしない大学生同士の会話。


「今日はこのあと何か受ける?」

「いや、これ終わったら帰るよ。」

「ほんと?!」


私の応答に嬉しそうな顔をする。それが不思議で、首を傾げると…。


「一緒に帰ろうよ?」


まだ『いいよ』と言ったわけでもないのに、頬が緩んでいる駆くん。


「……」


その表情が脳裏に焼き付くほど印象的で…。


(………私のこと…好きなんだ…)


「……ぃ…いいよ」


口ごもる。胸の鼓動が速まったまま治りそうになかった。




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