義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた


私、『水樹(みずき)のの』と『相田駆(あいだかける)』くんは高校時代、最初はただのクラスメイトだった。


「のん、私、再婚することにした。」


母は突拍子もない人で、中学卒業してから3ヶ月くらい経った日、再婚すると言い出した。

父親は私が幼い頃に他界。悲しいことに、あまり父親と一緒に過ごした記憶はない。
想いやりのある、太陽みたいに温かくて、よく笑う人だと聞いている。


「入籍は?いつ?」

「………もう少し先。のんが高校慣れたら…かな?」


一切、否定する気がない私に驚いた顔を浮かべた後、お母さんは答えた。

お母さんが選ぶ人なら何も問題ないと思った。いつだって私のことを第一に考えて、強く生きてきた人だから。ここで一生を添い遂げる人を見つけて、楽しい人生を歩んで欲しい。

真剣にそう思っていたから、否定する気なんて全くなく。


「なんて名前の人?」

「相田さん。のんと同い年の男の子がいるみたい。」

「え…それは……びっくり…」


人間関係は卒なくこなすタイプ。でも同年代の男子は少し苦手だ。

特に入学してから同じクラスになった男子は、いつも騒がしくて少し怖そうだし。


「年頃の男女を一緒に住まわすことに申し訳なさがあったんだけど……どうしても家族になりたいって思えた人なの。お母さんの我儘に付き合わせてごめんね。」

「大丈夫。お母さんが素敵だと思った人の子供なら、私も素敵だって思うと思う!」


無理して元気に振る舞っているのは、きっと母には丸わかりだったと思う。

でも、母の我儘に付き合うのも娘の務めだから。


大丈夫。うまくやっていける。


どうせ、高校卒業したら家を出るかもしれないんだし。


ノープログラム!


そう、悠長に構えていたのに……。

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