義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
駆side
煽ってきたのはのんちゃんだ。
『もう子供じゃない』
わかりきってる。そんなこと。
俺だって二十歳すぎた男だ。
脳内では絶対に人に言えないことをのんちゃんにしてる。
「……………目、閉じて。」
何度想像してきただろう。
小さな口は綺麗な桜色をしている。触れると柔らかそう。
………深く口付けたいと思ってしまう。
「…………」
喉の下の方が甘くキュンと鳴る。のんちゃんの頬に触れると驚くほどに熱くて、緊張してるのは自分だけではないと知る。
(あぁ……情けないな。手が震える…。)
それでも俺は欲望のまま、顔を傾けて口を近づける。
あと数センチ、数ミリメートルで触れそうな距離まで来て、忙しなく思考回路が駆け巡る。
(………このまま…本当にいいのか…?)
今更な疑問に笑えてきた。
「………」
煽ってきたのはのんちゃんだ。
人のせいにしないと勇気が出ない自分を、どうか許して欲しい。
そう思いながら、目を瞑っているのんちゃんの唇に自分自身のそれを遂に重ねた。
(……柔らか…)
想像よりもずっと気持ちいい。効果音で表すなら、『ふにゅ』って感じ。
一度離れて、顔を見ると伏し目がちに恥ずかしがっているのんちゃんの姿があった、
あぁ…ほら…予想した通りだ。
「……ごめん、のんちゃん。もっとしたい…。」
歯止めが効かなくなる。
「私も…。」
腰に手を回して身体を密着させた。上を向いてトロンとしているのんちゃんの唇にもう一度自分の唇を押し付ける。
「ん…はぁ……」
もう止められそうにないや。
「………心臓…壊れそう…」
「……俺も…」
2人して顔を合わせて笑う。
この上なく幸せだと身に染みて感じ、その日はひたすらに口付けを繰り返した。