義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
それから数時間が経過した。
気が気じゃない時間を過ごす。嫌なことばかり想像してしまう苦痛の時間だった。
「………はぁー…」
ヘタレな自分に愛想を尽かしてどこかに行ってしまうんじゃないか。
結局キス止まりで、そこから先には進展していない。
いっそのこと全部自分のものにできたら、こんな不安を抱くこともなかったのかな。
「…………」
もう一度深いため息をついた。
その瞬間。
《ピコン》
スマホの通知が鳴る。すぐさま画面を見ると、高校時代の同級生の早川からラインが届いた。
『お前の好きな子、酔い潰れてるぞ。迎え頼む。』
………早川、そういえばのんちゃんと同じ中学だったっけ。
知ってる人がいてホッとした。……で済むわけがなく……。
「は!?」
ガタンと大きな音を立てて立ち上がる。キャスター付きの椅子が後ろに倒れた。
酔い潰れてる…?
のんちゃんの心配ばかりが脳内で先行して、財布とスマホ、車の鍵を持って部屋を駆け出した。