義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
新婚生活と社会人生活が一斉にスタートを切る。
「今日晩御飯は?」
「俺が作るよ。のんちゃんの好きなシチューにしようかなぁー。」
「わぁ〜いいね…。夜を楽しみに1日頑張れそう。」
甘やかされてばっかりの日々。
ひたすら働いて、帰ってきたらひたすら甘やかされて。
「………」
甘やかされて……。
「じゃあ、おやすみなさい。また明日。」
甘やかされすぎて。
「………本当に夫婦…?」
はい、大学生の頃に抱えていたお悩みリターン。
一緒に住むようになった。なのにオトナの階段は登れていないのが現状。
「俺の心の準備ができてないの…!ここまで手を出さないで我慢してきたから、いつ手を出そうってなってるの!察してよ!」
「情けないー!」
言い争いをするくらいの仲にまでなった。(いや、前々からな気がするけど。)
真っ赤になって慌てている駆くんが可愛い。
……じゃなくて…。
「じゃあ、今度の金曜日!よろしくお願いします!!」
寝室は別々。リビングで会うだけの夫婦。
もしかして駆くんには性欲という欲求が無いんじゃないか、と不安になったけれど…。
「…ぅわ…緊張する…」
顔に全て出るタイプの人なので、注意深く観察すると、普通の男の人だと私は思う。
あと根が真面目な性格だから、お父さんとの『結婚するまではするな!』という約束をしっかりと守ってきたんだろうな。
「……上手くできるかな。不安すぎる…。」
全部声に出してしまうのも愛おしい。けれど、頼りなくて笑ってしまう。
「…ふふっ」
「っ…笑わないでよ…」
「駆くんだけじゃないよ。私も緊張してる。」
2人して真っ赤になって笑い合うのは、とても心地よかった。