義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた



それから時の流れは早いもので、高校2年生。クラスが別々になったタイミングで同じ家で暮らす生活がスタートする。


「水樹ってさ、何月生まれ?」

「12月。クリスマスに生まれた。」

「じゃあ俺の方が上だ。8月1日生まれだから。」


どっちが兄とか姉とか、どうでもいいんだけどなぁ。


「水樹ー」

「……相田くん、私も相田だから呼び方決めよっか。」

「じゃあ、のんちゃん?」

「馴れ馴れしいから嫌かも。」

「うわ、辛辣。」


距離感がバグっている人種だと思う。パーソナルスペースありますか?ってくらいに物理的な距離も、心理的な距離も近くて。


「………駆くん。」

「『カケちゃん』でも良いよ?周りみんなそう呼んでるし!」


満面の笑みで笑う顔はクラスで見ていた顔と同じ顔だ。目元は寛也さんに似てる。


「……カケちゃんは…ちょっと無理。」


もしその呼び方で慣れて、ふとした時に学校でそう呼んでしまったら……きっと周りがざわつく。


「周りには兄妹になったことはなるべく言わないで欲しい!なんか気まずいし!」


少しでも目立つリスクは避けたい。


なんて思っていた。





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