義理の兄妹で恋をするのはフィクションの世界だけだと思っていた
幸せ
ののside
むり。むりむり…!
鼓動がおかしいくらいに鳴り響く。
お風呂上がり、至らない点が無いか身体と睨めっこしたし、念入りに髪を乾かした。
『よし!完璧!』と万全の状態で駆くんの部屋に行けば…。
《すぅー…》
気持ち良さそうに夫は眠っていた。
わかるよ?しっかりと理解してるつもりですよ?
平日の夜に激務をこなして帰ってきた夫と営みを、というのは酷だと思うよ?
でも…。
(……昨日の夜から緊張して、ずっと頭が冴えてるのは私だけ…?)
なんだか寂しかった。
不貞腐れて、駆くんのベッドに潜り込む。
少しでも苛立ちをぶつけたくて、すやすや気持ち良さそうに寝ている駆くんの鼻を摘んだ。
「んっ」
《パシッ…》
手を振り払われて、彼は鼻を擦る。まだムカつきが消えなかった私は、今度は唇を重ねてみる。
そんなことしたって起きるわけがないのに。
「……ばーか…」
その後、目を瞑って横たわったまま駆くんの呼吸音を聴く。寝返りを打って私の方を向いたら、心臓に耳を当てて心音を聴いていた。
気分がいい。
腹が立つことも、モヤモヤすることも。山ほどあるけど。
昼間、駆くんが避妊具を買っているのをみてしまったから、そのお詫びとしてチャラにしてあげよう。
クスッと笑みをこぼして、体温を感じながら私は眠りについた。