風雅堂異談
全く無頓着の主人である。
同居人が1人?いや一匹増えても意に介さない。


そして2日後、ダンボール箱を抱え川辺が来る。


「二代目、いゃ~あれからすっかりおかしな事無くなった。変な臭いも、おかしな現象も、常連さんも元気になったし、家内もピンピンや!そりゃ~もう毎晩…おっと口が滑った。」


「…毎晩何です?続きは?」
この時ばかりは目を輝かす優。困った奴だ。と、ゆきは思う。うめは、笑う。


「まぁいいじゃない。家内の事は。おお麗子ちゃん、アルバイトの。何か凄く明るくなって、お目当てのお客も増える一方だよ。万々歳だよ。さすがに優さん!よっ色男!」
この際色男は関係ないが、頬を染めている所を見ると、優も満更ではないらしい。


「そのダンボール何です?」
さっきから気になって仕方なかった優。

「御礼御礼!優さんの大好物!どうせお金は受け取らないだろ。」


「何?何?」
目を輝かせまるで誕生日プレゼントを貰った小学生みたいな優。


「じゃ~ん!鰹節一年分!あれ?嬉しくないの?」


口をあんぐり開け、仰け反る優。
うめとゆきは、お互い目を合わせにんまりする。
1人と二匹の風雅堂
またのご来店を
奇の壱完
< 16 / 32 >

この作品をシェア

pagetop